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評者◆秋竜山
ニュートンのリンゴ、の巻
No.3539 ・ 2022年04月16日




■ニュートンが落ちるリンゴを見て発見したというのが〈万有引力〉である。私は、そのことを学校で学んだ。そして「これが万有引力であるのか」と、私はリンゴの落下ではなく、夏ミカンの落下によって、ミカン畑で知った。父と二人で、夏の暑さをしのぐためミカンの木の下で、作業が一段落したので昼の弁当を食べていた。その時、突然、私の頭の上に夏ミカンが落下した。「これが、ニュートンがリンゴで発見した〈万有引力〉なるものか」と、思った。そして、ニュートンもリンゴが頭の上に落下したのか、と思った。そして、さらに思ったのは、もし、リンゴが落下のさいニュートンの頭の上に落下しなかったら〈万有引力〉は発見できなかったのではないか。と、いうことであった。
 志村忠夫『いやでも物理が面白くなる[新版]――「止まれ」の信号はなぜ世界共通で赤なのか?』(講談社ブルーバックス、本体一一〇〇円)で、
 〈手を離せば物体は必ず落下する。つまり“下に落ちる”という現象は地球上のどこででも起こるものであり、(略)つまり、“落下”という現象は“地球の中心に引きつけられる”現象であると表現するのが正しい。それではいったい何が物体を地球の中心に引きつけるのか?(略)それが重力とよばれる力である。その重力が生む加速度が、「重力加速度」である。そして、この重力の源が、ニュートンが落ちるリンゴを見て発見したといわれる「万有引力」だ。ニュートンが明らかにしたのは、「宇宙のすべての物体は、宇宙の他のすべての物体を引っ張っている」という事実である。すなわち、すべての物体(“万有”=万物〉は、他のすべての物体に引力を及ぼしている。これは「万有引力の法則」であり、〉(本書より)
 リンゴがニュートンの頭の上に好運に落下したからこそ、万有引力なるものを発見できたのである。そして今の時代の世界においても誰も万有引力なるものをしらないものはいない。もしかすると「神が」天上でリンゴをニュートンの頭の上へ計算の上に落っことしたのではないか。神はニュートンが一流の物理学者であることを知っていたからではなかろうか。もしただの凡人の学者であったとしたら、リンゴを何個落っことしても万有引力までたどりつく力はなかったと思う。
 よく考えてみる、必ずしもリンゴでなくてはいけないというものではなかったろう。ミカンでもよかったろう。落下するものであったらカラスのフンでもよかっただろう。要するに、その時脳が「ナゼだろう」と反応する力を持っていたからこそよかったのである。
 〈東京生まれの私は小さい頃、春(4月末~5月初め)になると必ず東京湾の谷津干潟へ潮干狩にいってアサリをバケツ一杯もってきたものである。(略)加賀千代女(1703~75)の俳句、
 拾ふものみな動くなりしほひがた
の通りであった。また宝井(榎本)其角(1661~1707)の俳句、
 親にらむ比目を踏まん汐干かな
でもあった。(略)〉(本書より)
 潮の満ち引きは、万有引力のために生じる現象である。動物は動くから動物という。リンゴのように動かずジッとしているものは静物という。一本の大木もジッとして生涯を終える。絵画では静物画という。老木となり、枯れはてドサッと地面にたおれるのは万有引力のために生じるからだ。







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