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評者◆内藤朝雄
オリンピックを中止させなければならない――オリンピック開催に賛成する政治家には選挙で票を入れない。オリンピックを中止させようとする政治家に票を入れる。
No.3506 ・ 2021年07月31日




■私たちは政治の主人としてオリンピックを中止させなければならない――オリンピックを強行して新型コロナで私たちを殺そうとする政治家と政府を、本来の主人である私たちが利と害で飼い慣らさなければ、私たちが奴隷にされ、殺される。

 新型コロナ禍のなか、与党政府とIOC(国際オリンピック委員会)はオリンピックを強行しようとしている。
 NEJM(ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン)、Lancet(ランセット)、BMJ(ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル)など上位ランクといわれている医学雑誌でのオリンピックへの言及を見てみると、東京オリンピックは危険である、あるいは日本政府とIOCのオリンピック開催方法は安全とは言えない、という点でほぼ専門家たちの見解は一致している。日本の専門家たちの見解もおなじである。
 つまり、オリンピックを開催すれば、それを介して感染が広がり、オリンピックさえなければ死ななくてもよかったはずの多くの人たちが死ぬということだ。さらに多くの人たちは、死ななかったとしても長期的な後遺症に苦しみ、もはや幸福に生きることができなくなる。それは生涯続くかもしれない。期待される余命も短くなるだろう。
 また、世界のメディアを当たってみても、「オリンピックによる感染拡大が予想される」、「日本国民の大半が反対しているにもかかわらず政府は国民の声を聞かない」、「オリンピック開催の正当性に疑問がある」といった報道がみられる。なかには、「NBC(注‥IOCから巨額の放映権を購入している米国の巨大企業)は、日本国民を一人残らず殺してでも今夏のオリンピックを進めようとしている」とのコメントを伝えているものもある。
(The Hollywood reporter〔ネット版JUNE 22, 2021、2021年7月9日入手〕)↓

https://www.hollywoodreporter.com/business/business-news/nbc-olympics-tokyo-health-experts1234972083-1234972083/

 現在、新型コロナは、変異株が次々と発生して旧来の株におきかわり、そのたびに感染させる力と死亡させる力をおよそ倍倍のペースで増強し続けている。このことは、オリンピックを開催した場合に感染し、重症化したり死亡したりすると予想される人数が、現在急上昇中であることを意味する。
 それでも政府は、私たちの死体の上に、オリンピックをやろうとする。与党自民党と公明党の政府、それに利権で絡み合うさまざまな有力者や団体(オリンピック利権ムラ)は、日本国民の命よりも自分たちのオリンピック利権や、IOCや、国威発揚なるものに高い価値を置く。それに比べれば、ひとりひとりの人間の命は虫けら同然だ。そして、その本音を露骨に出す。彼らは私たちを生命の危機にさらしても、痛くもかゆくもない。何をしても自分たちの身は安泰であると安心しきっているからだ。
 わたしたちはどのようにすれば、オリンピックによって殺されずにすむか。こたえは簡単である。
 自民党も公明党も、オリンピックを開催すれば次の選挙で誰も自分たちに投票しなくなり、自分たちは消滅してしまうだろうと「合理的」に予期すれば、掌を返したように、すぐにオリンピックを中止するはずだ。そうすれば私たちは殺されずにすむ。
 今回のオリンピックに関してさまざまな専門家がさまざまに複雑な議論を展開している。しかし、コトは小学生レベルの問題だ。
 「ぴよぴーよ速報」という小学生向け学習サイトに、「ダメな現代人を歴史的な偉人が論破しまくるアニメ」という架空の対話シリーズがある。その「孫子 政治に興味ないとどうヤバイのか教えてやるよ」の回で、オリンピック問題のすべてが言い尽くされている。下記の動画をご覧いただきたい。
〔2021年7月9日取得〕↓

https://www.youtube.com/watch?v=92yN5o_fTI8

 概略は以下の通り。
 二人の若者AとBが喋っている。
A「なんか選挙みたいなものやってたな」
B「へー、選挙とかまあ、なんかよくわかんねえわ」
A「だよな、どこが当選しようが、どうせなんも変わんねえし」
B「てか票入れたい人とかもいねえし」
A「まあ、そもそも、なんだか、よくわかんねえもんな」
孫子「どうしたんだ?」
A「意味ねえよな。どうせ何も変わんねえのに、選挙運動のやつうるせえだけで、むしろ有害だわ。もっとマシなことに税金使えっていうの」
孫子「そうか お前らは奴隷だ」
 孫子は虎のたとえを出して言う。虎は強大な力を持っていて危険な存在だから、虎の管理者は、虎を檻という「害」によって拘束し、虎がすべきことを教えて「命令」し、それを遂行させるためにエサという「利」を与える。こうして人間は危険な虎を意のままに操り、自分たちのために働かせることができる。
 政府が持っている力は虎の比ではない。その気になれば何百万人という人を死に追いやることもできる。実際、それは歴史上繰り返されてきた。
 「だからこそ我々は、この虎よりも遙かに圧倒的に危険な猛獣を、敵対政治家への票という『害』によって脅し、…世論によって『命令』した上で、その政治家への票という『利』をちらつかせて『命令』を遂行させる。…こうして国民は…虎よりも遙かに危険な存在である政府を意のままに操り、むしろ自分たちのために働かせることができる。/しかし愚かにも虎の管理を怠って檻から放してしまえば、その結果虎がその管理者を食い殺したとしても、これは…管理者の怠惰としか言いようがねえ。/同じように、もし愚かにも政府の管理を怠ってしまい、その結果政府が…お前らを痛めつけ殺すことになったとしても、これは…政府の管理者であるお前らの怠慢としか言いようがねえ。/愚かにも政治に興味を持たず、拘束する『害』も、世論による『命令』も、褒美としての『利』も使わずに、放し飼いをするとなれば、猛獣が管理者を食い殺すことになっても当然である。/…政府の利害を掌握できなかったお前らは、政治家の奴隷になるしかない」。
 現在わたしたちがオリンピックによって新型コロナ感染の当たりクジを大量に引かされ、医療資源を奪われ、殺されようとしている事態は、単純明快にこういうことだ。どうすればよいのかも小学生レベルの問題だ。
 オリンピック開催に賛成する政治家には選挙で票を入れない。オリンピックを中止させようとする政治家に票を入れる。これである。
 そして、この姿勢を誤解されないよう、わかりやすく、はっきりと政治家たちに示すことも忘れてはいけない。こいつらを殺しても、おれたちは痛くもかゆくもない。こいつらは愚かだから、すぐに忘れて許すだろう。こいつらは学校の集団主義教育で食べやすい肉に加工してある。肉屋が自分たちを殺して金儲けをしていても、その肉屋を支持する豚のように教育してある。オリンピックによって多くの人が新型コロナに感染し、死亡者がたくさんでても、知らんふりをしていればわれわれ政治家は大丈夫だ。と、このように誤解されないようにする必要がある。
 さらにやるべきことがある。このことはまだ多く発言されていないが重要な方針だ。
 IOC幹部や政府の意思決定に関わった者たちは、上記の医学雑誌群に発表された医学専門家たちの見解を知らなかったはずはないので、もしオリンピックによって感染拡大が生じて多くの人が死んだ場合、未必の故意による殺人罪が成立する可能性がある。
 未必の故意とは、それを意図的に起こそうとしたわけではないが、自分の行為の結果としてそうなってもよいという意識状態のことである。これは日常語の「故意」の語感と若干ずれているが、刑法上は故意とみなされる。
 医学専門家たちが危険であると訴えているなか、オリンピックを強行した与党政府幹部たちは、オリンピックによる大きな超過死亡がでた後、未必の故意による殺人罪に問われなければならない。日本の政府幹部だけでなく、「緊急事態宣言下でもオリンピックを開催する」、「アルマゲドンでも起きない限り大会は開催される」とオリンピックを強行したIOC幹部たちも、殺人罪に問われなければならない。外国人といえども例外ではない。
 このことは多くの日本国民が知っておくべき重要ポイントであり、世論もこの認識をもとに大きく立ちあがるべきである。彼らはオリンピックによって私たちを(未必の故意でもって)殺そうとしている者たちなのだから、それは当然である。
 また、オリンピックを強行するIOCと日本政府の幹部たちを、ハーグの国際刑事裁判所に、集団殺害犯罪、および人道に対する罪で告発する必要がある。
 さらに、契約上オリンピックを中止することができるのはIOCだけで、日本の側からは中止ができないとの、よくいいわけに使われる風説について考えてみよう。
 IOCは国ではない。IOCは、どこかのプロレス団体のような、見世物スポーツで金を儲ける団体である。そのような団体が、契約上多くの命が失われるような事態を受け入れろと要求しても、そのようなジェノサイド契約は無効であるとし、無視すればよいだけである。もちろんIOCに金はいっさい払わない。国民の大量殺戮をくわだてた有害団体として、関係者を処罰し、入国を禁止すべきである。多くの日本人を殺そうとしたIOC幹部は日本に入国したら逮捕される。それが国民の生命と安全を守る責務を有する国家というものではないか。そして実質的なジェノサイド契約を日本に押しつけようとしたIOCを一種のテロ組織として解散させるべきであると、国際社会に訴えかけるべきではないだろうか。
 もし本当にIOCが日本政府よりも上位の意思決定主体であり、多くの人を新型コロナに感染させ、多くの死をもたらす有害な見世物スポーツを日本におしつけることができるとしたら、日本国は、かつて大英帝国に阿片を売りつけられ、それを拒んだら軍事的に占領され、植民地的な扱いを受けることになった中国の清朝と同じ境遇にあると言える。
 当時世界最強の大英帝国とはことなり、IOCは見世物スポーツをメディアに売って金を儲ける、ただの見世物スポーツ団体にすぎない。日本は、このような団体にひれ伏し、かつて阿片を売りつけられた清朝のように、新型コロナ感染拡大と抱き合わせになった有害なオリンピックを、強制的に売りつけられているのである。
 中国の清朝にも、大英帝国の手先になって阿片押し売りに手を貸した中国人がたくさんいたはずである。右翼と呼ばれる人々は、そういう者たちのことを「売国奴」「敵のスパイ」「反日勢力」というまがまがしい言葉で非難する。
 毎日新聞(2021年7月9日)によれば、安倍晋三前首相は「…反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の(注‥オリンピック)開催に強く反対している」と発言した。その口から吐き出された「反日」という唾は、何十倍にもなって本人の顔に落ちてくるのではないだろうか。安倍氏はIOCのバッハ会長から「オリンピック・オーダー(五輪功労賞)」の金賞を授与されていた。
 上記、未必の故意による殺人を告発するとき、IOCと利権で絡み合うさまざまな有力者や団体(オリンピック利権ムラ)を洗い出し、誰がどのような関係でどのような利益を得ているのかを明るみに出し、阿片を売りつけられた清朝のような、日本のIOCへの屈服の原因を究明する必要がある。そして、このIOCの手先たちを日本の指導的な立場から追うことが要請される。
 日本の有権者がここまで政治家に軽く扱われる原因の一つは、極端な集団主義を採用する学校教育による人間の奴隷化である。大衆向けテレビ番組は、新型コロナの危険よりも、オリンピックでみんなで盛り上がっているんだから、その盛り上がりを何よりも大切にしようよ、といった奇妙なメーセージを流す。みんなで盛り上がる空気、「感動をわかち合う」といった大義名分があれば、日本で学校教育を受けて洗脳された者には何をしても許されてしまう。それは、人の命よりも、みんなの心を一つにして盛り上がることが高い価値を有すると、パブロフの犬のように感覚を条件づける。
 みんなで盛り上がって「感動をわかち合う」という感覚的な大義名分に対する奴隷化を示す実例が、学校の運動会でよくみられる組体操である。組体操という出し物は、子どもたちが大けがをし、死亡するリスクも大きいことがわかっていたが、多くの中学校では、子どもの命よりも「感動をわかち合う」ことが重視された。事故が報道され社会問題になっても、組体操は長いあいだなくならなかった。次の動画↓

https://www.youtube.com/watch?v=RZuz8vcCN2s

で、子どもが死んでいてもおかしくない崩落事故時にまきおこる、大きな拍手と、けが人への無関心、軍隊まがいの所作を観察していただきたい。これが、極端な集団主義を採用する日本の学校教育の神髄であり、現在政府が強行しようとしている東京オリンピックの姿でもある。
 今回のオリンピック強行は、日本社会全体が巨大な中学校のようになっていることを示した。国民がどれほど死のうと、みんなが心を一つにして、オリンピックで感動をわかちあうぞ、ということである。この一方の狂気が他方の露骨な利益追求と張り合わされている。こうして私たちは、前の戦争でたくさん死んだように、今回のオリンピックでも死ぬことになる。
 こんなことを繰り返していてよいはずがない。
(社会学)







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