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評者◆秋竜山
しがみつく言葉、の巻
No.3356 ・ 2018年06月23日




■助けてくれ!! という言葉で、まず浮かぶのは、海でおぼれている人の叫び声である。あるのは水平線だけ、誰にむかって、助けてくれ!! と、声をはり上げているのか。誰にむかってなどと考える余裕があるわけではない。が、しかし、誰かに、何ものかに助けを求めているのである。
 インパクト編『生きる力がわいてくる 名言・座右の銘1500』(ナガオカ文庫、本体四八六円)。マンガなどではよく、助けてくれ!! と声を出している人間が描かれている。実際にヒトは、この声を発することがあるだろうか。そういう状況はあるかもしれないが、なかなか、声にして、助けてくれ!! という言葉を口から出すことはしないだろう。
 〈本書には名言の解説はあえてつけません。言葉は、その人の読む状況・体調などによって、その言葉から受け取る印象が変わります。解説をつけることで、その印象の幅を狭めてしまうのではないかとの思いからです。〉(本書より)
 海で、手足をバタバタさせている人が「助けてくれ!!」と必死になって叫んでいる。そんな時、言葉とは何か、を考えてしまう。その時は、言葉など、どーでもよい(もっとも、これも言葉だろうが)。まず、手をさし出してやることだろう。言葉にしがみつくのではなく、手にしがみつくだろう。
 〈“言葉”には、迷った人々を助けてくれる道しるべとなりえるパワーが潜んでいます。〉(本書より)
 海の真っ只中で一人の人間が、助けてくれ!! と、叫んでいるのに対して、そんな時、おもむろに本書を取り出して、
 〈「人間にとって、苦悩に負けることは恥ではない。快楽に負けることこそ恥である」。――パスカル(数学者・哲学者)〉(本書より)
 と、本書を読みあげる。「そんなことは、どーでもいい」。そんなものより、浮輪の一つでも投げてくれ。たしかに、そーである。
 〈本書では、歴史上の偉業を成し遂げた英雄だけでなく、小説家や企業家、スポーツ選手など古今東西の先人達が紡いだ言葉の中から、「勇気が欲しいとき」「自信をつけたいとき」「仕事が上手くいかないとき」「人間関係にいきづまったとき」「素敵な恋愛をしたいとき」「自分を変えたいとき」という6つのシチュエーションで、あなたの助けになるものを1500選びました。〉(本書より)
 私は「ガンバレ」と、いう言葉が好きである。しかし、この「ガンバレ」も違った解釈がうまれたようだ。ガンバッテいる人に対し、くどく「ガンバレ」ということは、くどいというか失礼のようなものがあるというのである。そーだろうか。
 〈「希望は人を成功に導く信仰である。希望がなければなにごとも成就するものではない」。――ヘレン・ケラー(教育家・社会福祉事業家)「奇跡の人ヘレン・ケラー自伝」(新潮社)、「名言のない時代は不幸だが、名言を必要とする時代はもっと不幸だ」。――ベルトルト・ブレヒト(ドイツの劇作家)、「君、時というもの、それぞれの人間によって、それぞれの速さで走るものなのだよ」。――シェイクスピア(劇作家)、「おしゃべりと雄弁はおなじではない。愚者はしゃべりまくるが、賢者は話すだけだ」。――ジョンソン(創作家)〉(本書より)
 そーいえば、聞いたことがあった。〈うろつく〉と〈散歩〉のちがいだ。







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