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評者◆添田馨
暗黒の時代から漆黒の世へ⑦――「憲法改正」なんてものはない
No.3351 ・ 2018年05月19日




■改憲か護憲かと訊かれれば、むろん私は護憲それもかなり過激な護憲派だ。つまり「指一本触れてはいけない」(安倍首相)と考えるタイプの“思考停止”野郎だということだ。
 この一、二年「憲法改正」の文字が、新聞紙上などでごく当たり前のように見られるようになった。今年始めの報道各社による世論調査の憲法改正に関する部分では、“9条2項維持、自衛隊明記”に賛成する調査結果など(日経47%、NHK16%、読売32%、毎日31%)も報告された。あたかも「憲法改正」が既定路線であるかのような書きぶりである。
 だが、間違えてはならない。あるのは「安倍改憲」であって「憲法改正」なのではない。
 「自衛隊明記」のこの議論は、昨年5月に安倍首相が突然のビデオメッセージで言いだした。つまり、完全な「首相案件」なのである。入れ知恵したのは、日本会議系のシンクタンクである。それ以降、自民党の憲法改正草案にも盛り込まれるなど、このアイデアは一気に存在感を増しつつある。しかし、これは国民への目眩ましであることをゆめゆめ忘れてはならない。
 私とて、中堅若手の憲法学者や法律家たちによる、真面目でハイレベルな改憲論議があることを知らないわけではない。だからこそ、そうした議論には耳を傾けてきたし、またそうした議論が存在することを頼もしくも思う。だが「首相案件」のアイデアの中身は、真面目でもなければハイレベルでもない。将来的に自衛隊を国軍化し、それを海外に出して戦争できるようにするためだけの権謀術数的な布石に過ぎぬのである。
 「世論調査も一つの参考ではあるが、改憲の成案をまとめ、国民投票に付すことが国民の声を聴くことになる」(4・9参院決算委員会での首相発言)――冗談ではない。何度でも言うが、憲法改正なんてものはない。あるのは、「安倍改憲」だけである。そして、その本質は、憲法破壊の政権ぐるみの陰謀なのだ。私の“思考停止”は、それへの対抗手段なのである。
(つづく)







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