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評者◆添田馨
暗黒の時代から漆黒の世へ④――言葉よ、非情なる肉食獣たれ!
No.3339 ・ 2018年02月17日




■“絶対零度の言葉”とは、逃げる不正者を追い詰め、捕獲し、その息の根を完全に止める力(パワー)を秘めた言葉のことだ。
 森友・加計学園問題とは、安倍晋三とその政権が抱え込んだ過去に例のない“急所”に他ならない。ここを攻められ、万が一敗北するようなことがあれば、政権は倒れる。だから、彼等は権力機構を総動員してまでも、ただ一人の不正者とその地位を護り抜こうとあがく。
 大型の肉食獣は、獲物に狙いを定めると慎重に身構え、あるところで一気に襲いかかる。捕食される側はしばしば群れをなし、ターゲットにされた固体を捕食者の攻撃から遠ざけようとする。しかし肉食獣は絶対にあきらめない。何度でも攻撃を繰りかえすのが常だ。そして僅かな隙を突いて、みごと獲物の喉首にその鋭い牙を喰いこませた瞬間、勝負もまた決するのだ。
 森友・加計学園問題という安倍晋三個人に関わる一連の疑惑は、すでに一部は立証段階にまで入っている。議員と民間人とを問わず、一貫してその追及の手を緩めなかった人々は、私の目に勇気ある“言葉の肉食獣”として映っていた。逃げる相手をこれでもかこれでもかと責め立て、彼に安心の時を与えない。草食獣たちはしばしば大群であり、肉食獣はほとんどが単独である。野生での彼の最大の武器はその牙だ。人間社会でのそれは、いうまでもなく真実を突く“言葉”である。
 ライオンや豹など、獲物を狩るときの彼等の姿は痺れるほど美しく精悍だ。そしてどこまでも非情だ。断末魔の悲鳴をあげる哀れな動物たちに、一滴の情けも示すことはない。イヌ科の獣たちが多くは集団で獲物の後ろから襲いかかるのに対し、ネコ科の彼等は、必ず自分の獲物の急所である喉首を狙う。そして喰らいついたら獲物が完全に絶命するまで決して離さない。何時間でも彼らは無言のままかっと目を見開き、獲物が息絶えるのを待つ。その研ぎ澄まされた殺意――彼等の姿こそ“絶対零度の言葉”そのものでもあるだろう。
(つづく)







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