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評者◆allblue300
ご褒美のような一冊、贅沢なひと時
福岡伸一、西田哲学を読む――生命をめぐる思索の旅 動的平衡と絶対矛盾的自己同一
池田善昭・福岡伸一
No.3317 ・ 2017年09月02日




■福岡伸一先生が西田哲学に取り組む。西田哲学とは西田幾多郎が築き上げた非常にユニークな哲学体系のこと。読んだことがあるかって!? もちろん(爆)ありません!
 生物学者の福岡伸一先生が西田哲学の研究者である池田善昭先生にびっちびっち鞭を打たれる。西田哲学の中にある生命論。福岡伸一先生の疑問に答え続ける池田先生。
 西田幾多郎が用いた言葉、「純粋経験」、「行為的直観」、「自覚」、「絶対矛盾的自己同一」などの難解な言葉の意味するところを、生命科学の最新の知見を重ね合わせながら、読み解いて行こうとした我々のささやかな記録である。
 ささやか!(笑)全然ささやかではありません。これは生物学者と哲学者との異種格闘技戦。ところが、読めば読むほどわかるのは決して異種なんかではないことです。
 仲間うちでは、よく西田は「パッとわからないといけない」と言われるんです(笑)。
 なんと池田善昭先生、いきなりえげつないパンチを放つ。さすがの福岡伸一先生も「パッとわからないといけない!?」と絶句してしまいます。池田善昭先生容赦せん!
 西田哲学に「逆限定」という「???」という概念が出てきます。これにさすがの福岡伸一先生も難儀しますが、粘る福岡伸一先生。池田善昭先生も粘って理解に導く。
 いずれ西田幾多郎の哲学書と向き合わなければいけません。福岡伸一先生がご自身の理解に基づき『生命』という本の一部を抄訳してくれているので、参考になります。
 ダイアローグのなせる業。福岡伸一先生が指摘しています。池田善昭先生とのガチンコによって難解な西田哲学と向き合っている。モノローグでは成し得ない境地です。
 向こうに山が見える。その山に登ったら、また向こうに高い山があった。だから次々と山に登ります。
 福岡伸一先生が引用した今西錦司という人の言葉です。学ぶことの巧まざる比喩である。学問はひとつ山を登り終えた後に、また異なる高みを目指して登っていくもの。
 そのためには自分の道具を持って、自分なりの細い道を作り上げなければならない。その道具が導いてくれるのだと。福岡伸一先生で言えば、それが生物学なのですね。
 西田哲学への入口としても素晴らしい本ですが、学ぶことへの考え方や姿勢が参考になりました。本音を言えば、西田哲学に対する理解がまったく追い付いていません。







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