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評者◆秋竜山
マンガはアイデアがすべて、の巻
No.3313 ・ 2017年07月29日




■松浦弥太郎『考え方のコツ』(朝日文庫、本体五八〇円)では、考え方にもコツがあることを伝授される。〈一日二回「思考の時間」を確保する〉と、いう。
 〈僕はできる限り一日二回、思考の時間をスケジュールに組み込んでいます。まずは午前中の一時間を確保します。なぜ午前中がいいかと言えば、心も頭もリフレッシュされているためです。〉(本書より)
 午前中は頭がスッキリしているからというのだろう。そして、
 〈午前に一時間、午後に一時間、「思考の時間」を確保したとしても、やり方がわからない人が多いのではないかと思います。〉(本書より)
 頭脳がスッキリしている時は、一日の内に二回であるということか。マンガはアイデアを考えることが99パーセントであり、画は残りの1パーセントをついやすことになる。つまり、マンガとはアイデアがすべてと思ってよいだろう。毎日がアイデアづけであり、一日の内に二回、アイデアに時間をついやす、しかも一時間を二回にわけてということになるなど、アイデアに明けてアイデアに暮れるマンガ家にはとても考えられないだろう。しかし、一日に二時間かけてアイデアが浮かんだとしたら、それ以上の時間でアイデアを考える必要もなかろう。そういうマンガ家もいるかもしれない。五分間考えてパッとひらめく場合も時たまあったりするのだから。
 〈大きな白い紙を用意しましょう。僕はいつもA3を使いますが、B4でもかまいません。できるだけ大きな白い紙をおすすめします。最初に紙を机に置きます。そのまま、自分の目の前にある白い紙を、じっと見つめます。この時点では、まだ何も考えていません。いわばまっさらな状態です。何も書かれていない白い紙と対峙するとは、情報を遮断するためのウォーミングアップ。知識やさまざまな情報から解放され、ゼロの状態で考えるために、リセットするということです。〉(本書より)
 よく、マンガのアイデアはどのようにして考えますか? などと聞かれることがあったりする。極意などというものがあったら、こっちが聞きたいくらいである。一番いい方法としては困った時の神だのみであって、「神さま!! お助け下さい」といのるくらいしかないかもしれない。一日中、フトンにもぐり込んでいるマンガ家もいたらしい。だれにもいえることは、ジッとひたすら、ひらめきを待つしかないだろう。
 〈純粋なアイデアが生まれた瞬間は、それがどんなに稚拙でも、自分で「これでいい」とわかります。理屈ではなく体と心で、「これでいいんだ」と感動する答えが、唐突に降りてきます。そうすると、「みんなが賛成してくれなくても、世の中のほとんどの人が反対だと言っても、これで絶対いける」と確信が芽生えます。〉(本書より)
 若い時、先輩マンガ家に、マンガを描くのがたのしいと思える時は、本当のマンガ家ではない!! と、いわれた。本当のマンガ家とは、もうマンガを描くのがバカバカしくてやってられないと思った時だという。マンガを描くということが仕事になった証拠であり、昔から、仕事というものは、たのしいどころかつらいものであるということだ、と、いう。仕事というものは文句をいいながら、やめるわけにはいかないものらしい。考えるコツとは仕事のコツということ……か。







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