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評者◆秋竜山
あなた、ぶれてますよ、の巻
No.2902 ・ 2009年01月24日




 漫画以上のことを政治家はやっている。それがテレビで流されてしまう。あの「笑い」は、本来なら政治漫画家が漫画に仕立てるべきことなんだ。政治家みずからが、お笑い政治家になってしまっているのだから、政治漫画家泣かせというべきだろう。「政治が悪いからだ」と、なにかにつけて政治のせいにするのは今に始まったことではない。政治というものができた時に、この言葉もうまれているのだ。「郵便ポストの赤いのもみんな私が悪いのよ」という名文句があった。今でも生きた名文句といえるだろか。「政治が悪いからだ」は今でも充分生きているというよりも、今が一番生きているとさえ思えてくる。テレビで政治をコメントする人が、ある政治家を「ぶれている」と、いっていた。発言するたンびに変わっているという。さっき言ったことと、今言ったことと、もう変ってしまっているという。だから、「ぶれている」のである。平山郁夫『ぶれない――骨太に、自分を耕す方法』(三笠書房、本体一五〇〇円)を書店でみつけた時、思わず笑ってしまったのである。この本のタイトル「ぶれない」に笑ってしまったのだ。それは、「ぶれている」が、先にあって、後から「ぶれない」がきた、という、それだけのことであるが、もし、先に「ぶれている」がなかったら本番のタイトルの「ぶれない」に笑わされることもなかったのだ。私がもっとも好きな平山郁夫画伯が著者であったとは、さすが、笑わせてくれるタイトルをつけてくれたものだ。平山画伯は「そんなことで、つけたタイトルではない。もっとまじめなものだ」と、おっしゃるだろう。だからこそ、おかしいんだ!!といったら平山画伯にお叱りをうけるかもしれない。
 〈「ぶれない自分」を持ち、自信を持って物事に取り組んでいきたい。自分の「型」を確立させたい。誰もがそんな思いを持ちますが、画家も同じです。一流と言われる画家は、それぞれの「型」を築き上げています。(略)どんな天才も、一度は「型に入る」時期があるのです。先人の「型」に学ばなければ、自分の独自性も打ち出せない。破るべき「型」を知らなければ、先へは進めないということです。先人の「型」を知ることが、自己形成の第一歩になる。そして、多くを学べば学ぶほど、自分の基礎や土台がしっかりしてきます。〉〈「型に入る」、つまり先輩や上司のやり方を見習うこと。ひょっとすると、そこには「ムダだな」と思えることや「どうしてこんなことを」と疑問に思うことがあるかもしれない。けれども、それを身につけることが、とりも直さず仕事を上達させていく土台となることは確かなのです。〉(本書より)
 いずれにせよ、自分の型をつくれるかどうかだ。自分の型ほどむづかしいものはない。まず、どのような型なのかわからない。他人の型ならすぐわかる。他人の型がわかることによって、自分の型がみえてくる……と、いうものでもない。自分の型だと思っていても、よくみると他人の型であったりするわけだ。要するに自分を他人だと思えばいいわけだ。だったら他人の型でいいんだから……ね。なんという「大ぶれ」だ。






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