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評者◆秋竜山
過ぎたるは及ばざるが如し、の巻
No.3285 ・ 2017年01月01日




■本多時生『考えすぎない』(アルファポリス文庫、本体六〇〇円)と、いう本。考えすぎてはいかん、という。考えすぎると、どうしていけないのか。なにごとにおいても、すぎるということはよくないようだ。
 〈第1章 考えなくてもいいことを考えすぎない――ほとんどのことは、小さいこと、自分さえ考えなければ問題ないこと、放っておいても自然消滅すること。つまり、考えなくてもいいことなのです。〉(本書より)
 クヨクヨ考えてしまうことに問題がある。わかっているけど考えてしまうのである。他人からみれば、どーってことのないことであっても、本人にしてみれば、放っておけない。そういう性格だからしかたがない。考えなくてはいけないことを考えないで、考えなくていいことを考えてしまう。本書では〈考えなくてもいいことを考えすぎない〉を、まずページの最初にもってきたのは、きっと、考えすぎの中で一番のささいなことでありながら一番考えなければならないことだからなのかもしれない。〈小さいことは考えすぎない〉〈考えなければ問題ないことは考えすぎない〉〈先の悪いことを考えすぎない〉〈時が解決してくれることは考えすぎない〉〈やりたいことがあるなら考えすぎない〉と、各項目を解説している。すべて、考えすぎないことからである。目次をみて、まず笑えてしまったのは、考えるということである。その考えるということに、考えすぎない、という問題が生ずるのである。何ごとにおいても、すぎるということはロクなことがない。考えるということは、十人十色であって、たとえ夫婦であっても、同じ考えということはありえない。はじめの内は同じであっても、段々と考えがくい違ってくる。そして、まったくもって異なった考えを持つようになる。「いったい、あいつは何を考えているのか俺にはサッパリわからない」と、いうのが世の夫の考えであるだろう。事実、わからない。女だからか、とも考えたりするが、結婚当時は何を考えているのかよくわかったものだ。女房のほうもわかってくれていたようだ。月日というものは恐ろしいものである。これはどんな夫婦にもいえることであろう。白といえば黒、黒といえば白。これが真の夫婦のありかたか。〈慢性的な問題を考えすぎない〉と、いう。
 〈たとえば、仕事・収入・人間関係などの自分の環境の問題。神経症、性格などの自分の心の問題。肩こり、頭痛・冷え性など体質、病気・ケガ・障害などの自分の体の問題…。〉(本書より)
 考えるなといわれても無理というものだ。病院へ行く時と帰る時という違いは自分でもあきれるくらいである。行く時は、あきらかに病人であるのに対し、医師の「どこも悪いところはありません」の、ひとことで、ピョンピョンはねながら帰宅する。気のせいだともいわれ、考えすぎともいわれる。
 〈「悩む」には、「考える」と「苦しむ」の意味があります。「悩まない」ためには、「考えない」か「考えても、苦しまない」ことができればいいのです。「苦にせずに、よく考える」ことができればいいのでしょう。〉(本書より)
 りこうな考えかたとして、自分にいいように考えるということか。「あなたって自分のことしか考えないんだから」と、妻は必ずいいたがるものである。







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