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評者◆伊達政保
渡世の仁義はヨーロッパでも変わらない――渋さ知らズ・ヨーロッパツアー報告第三弾
No.3279 ・ 2016年11月19日




■渋さ知らズ・ヨーロッパツアー。ドイツでのフェスの演奏終了直後、夜走りで15時間かけスイスのイタリア側の観光地メンドリシオへ。街中のビルに囲まれた広場が会場となっている。行政主導で幾つものスポンサーが付き、これまで数々のビッグ・アーティストが出演している歴史あるフェスティバルだ。渋さの出番前は、80年代にフュージョン・ジャズで一世を風靡したステップス・アヘッドのリユニオン。技量としては凄いのだが、オイラ70年代末にフュージョンがつまらなくジャズから離れたので今更ねえ。ステージの前は椅子席となっており招待客等が行儀よく聴いていた。彼らの演奏終了後、椅子が取り払われオール・スタンディング、広場が観客で埋め尽くされた。このフェスはなんと入場無料なのだ。渋さの演奏はここでも観客を沸かせる。18年間ものスイスを含む渋さのヨーロッパツアーでファンになった人々も数多く来ていた。
 イタリアのフィレンツェ近くの城壁都市プラト。その中心部の古城前広場で行われるコンサート。フェスのプロデューサーは以前、サルジニアの渋さのコンサートに来ていたというし、スタッフの女性も前にスイスのポスキアーボで渋さを見て感激したという。こうした人々のネツトワークと熱意がコンサートを企画し支えているのだ。ダンスや舞踏も加わった演奏の中で渋さ御得意の出し物、巨大な風船のドラゴンが古城の中から登場し宙をゆったり舞うと、素晴らしいロケーションと演出に老若男女そして子供たちも大喝采。
 急遽予定を変更しスロべニアのマリボルへ。わずか一日半の間に、以前スロべニアのフェスで渋さをプロデュースした人物が、なんと35人の宿泊とス卜リートでのライブ(食事、ケータリングを含む)をセットしてくれた。渡世の仁義はヨーロッパでも変わらない。
 スロバキア、トレンチーン近郊の飛行場の半分を使う広大なフェスティバル。飛行場は稼働中で、飛行機が離着陸している。宿泊は市街ではなく少し離れた温泉保養地の高級ホテル。オフ日にはフェスの車を使い古城観光までセッ卜するというおもてなし。さすが。
 最後はポーランドのルブリンのフェス。街の中心部の古城を利用した歴史博物館隣の広い公園が会場だ。ポーランドは右派政権になったが、フェスの共催企画で「チェルノブイリ30年、フクシマ5年」のポスター展が行われていた。主催者のスタンスがよくわかる。歴史博物館を覗くと、ハンガリー事件の写真展が行われていた。反ロ・反共・ナショナリズムが基調で、現政権の主張が明確だった。
 このツアーによって、現在のヨーロッパを垣間見ることができたように思う。







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