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評者◆竹原あき子
哲学書専門店、J.VRIN
No.3233 ・ 2015年12月05日




■カルチェラタン、ソルボンヌ校舎を正面にして、左側に哲学専門書店J・ヴランがある。哲学書専門というだけでも珍しいが、とりあつかう本の量も膨大で、新刊ではみつからないもの、同じ専門書の数カ国語の翻訳書も、中古もとりそろえている。
 1911年にこの書店が創業したのは、J・ヴランがある日フランスの哲学者、E・ジルソンに出会ったからだった。ジルソン教授が、自分が書いた本が書店で買えなくなったので、再版できないかと相談したことから始まった。それ以来、絶版となったが歴史的に価値がある専門書を教授と共同して出版し、哲学専門店として成長して100年以上になる。在庫の書籍は1800タイトル、毎年40冊ほど新刊出版もする。
 大学の前という立地にも恵まれているが、玄関のデザインに惹かれてこの書店に脚を踏み入れることになった。石の基壇の上に2段引き出しが作り付けになり、そこに書籍を並べる。入り口の左右に引き出しはあるが、いつでも両側が開いているわけではない。どこか懐かしい風景、と記憶をたどれば京都の町家にある「ばったり床几」と似たつくりだ。玄関は狭いが奥行きがある京都の町家と似て、この書店も細長く,行き着く先に不安があるほど。歩道にすこしだけ突き出し、歩きながらチョットだけ覗きたくなるデザインも心地よい。
 引き出しだから店じまいには引き戻すが、並べる本の量によって、引き出す寸法が異なる。この書棚には中古でなお特価が並ぶ。フランスは中古も新刊も同じ店舗で販売する仕組みが許される国だ。
(和光大学名誉教授・工業デザイナー)







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