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評者◆ベイベー関根
「SFの巨匠」、21世紀の日本に再臨!
天国の魚(パラダイス・フィッシュ)
髙山和雅
No.3190 ・ 2015年01月17日




■いやー、こないだ能條純一『リペアマン』を読んだら、麻雀マンガなのにいきなりSFになっててびっくりしたなー。いちおうSFがサスペンス的に扱われてて、その設定さえなければ、いつもの能條流麻雀マンガなんだけど、その道の巨匠が新しいことをやろうとしたときにSFにふるっていうのが妙にツボでさ(笑)。
 ところで、巨匠とSFってことだと、髙山和雅『天国の魚(パラダイス・フィッシュ)』を推したいねー。こっちは「巨匠とSF」というより、「SFの巨匠」だけどさ。
 髙山は1980年に『ガロ』でデビュー。出版社などは変われど、ほぼ一貫してSFを描き続けてきた硬骨漢だ。とはいうものの、ここ数年新刊が出てなくて、どうしてんのかな~と思っていたら(その間、それこそ阿佐田哲也原作の麻雀マンガを描いてるのを見かけて驚いたり)、古巣?の青林工藝舎のWebサイト「放電横丁」にいきなりこの連載が始まったのだ! 短期間のうちに次々と発表された前半部と未発表の後半部を併せて刊行されたのが、この本なんだが……これたぶん、全部描いてから持ち込んでるよな。その間、この密度の絵をたったひとりで全部手描きで、と考えると、ちょっと目眩が……。
 2030年、彗星が地球に接近し、地震と津波が襲ってくるのに備え、ある島に住む家族5人はシェルターに避難する。地震が起こってみると、家族はまったく違う環境で目を覚ます。そこは1970年の日本だった。戸惑いながらも暮らしを続ける5人だが、時が経つうち、あるものは亡くなり、また別のものが加わってゆき、5人という均衡は不思議に保たれながら、21世紀に近づいてゆく。だが、あるときその均衡が破られるときがやってくる。暮らしている部屋が、実は宇宙船につながっていたのだ!(メトロン星人か!?)
 ……というところで、ちょうど半分くらい? まだまだすごい展開になっていくんだけど、とにかくホントに絵もストーリーも高密度で(しかもどんでん返しだらけ)、いや~、はっきりいって頭混乱するわ!(笑)だけど面白い! さらに、髙山独特の世界観、というよか哲学が、SFの衣をまとってけっこうガッツリ出てくるね~。実は髙山さんってこれまでもそういうことを意識してやってきてるわけでさ、いや頭下がるよ。
 しかしさー、髙山さんってこれまでプロフィールとかほとんどわかんないままで、そういう類いの取材とか全然受けてこなかったみたいなんだよね。たぶんそれもエラぶってるとか隠れたがってるとかじゃなくて、作家は作品がすべて、っていう考えから来てると思うんだよ。でも、この本が出たきっかけで、『アックス』101号に貴重なインタヴューが載ったっぽいから、とりあえずそれを読んでくれ!
 ま、裏話みたいなことはともかくとして、まずはこの超人的な画力・ストーリーテリング・構成力・思想(!)にいっちょ打たれてもらいてえ!







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