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評者◆三島政幸(啓文社コア福山西店)
人類の宇宙開発の輝かしい功績
宇宙探査機――ルナ1号からはやぶさ2まで50年間の探査史
フィリップ・セゲラ著、川口淳一郎監修、吉田恒雄訳
No.3145 ・ 2014年02月08日




■私が宇宙に興味を持つきっかけとなったのは、カール・セーガン博士である。
 中学生の頃だったと思うが、日本でも放送された「コスモス」という科学ドキュメンタリー番組が、それまでぼんやりと感じていた宇宙への憧れを決定的なものにしたのだ。セーガン博士はその番組のホストとして、一見何の関係もなさそうなエピソードを交えながら、それらが全て宇宙の話に帰結し、宇宙へのロマンを掻き立てる、素晴らしい進行ぶりを見せてくれた。
 セーガン博士は、後に映画化もされた『コンタクト』など、数多くの著書も残している。しかしセーガン博士の最大の功績といえば、火星・木星・土星などの惑星に接近して探査をおこなった〈バイキング計画〉〈パイオニア計画〉〈ボイジャー計画〉の責任者として、プロジェクトを成功させたことだろう。
 人類の宇宙開発といえば、〈アポロ計画〉やスペースシャトル、あるいは国際宇宙ステーションのように、人間が直接宇宙に行ったプロジェクトがどうしても目立ってしまうのだが、無人の探査機がもたらした成果も計り知れないものがある。『宇宙探査機』は、人類の宇宙への挑戦を数多くの美しい写真とともにまとめた一冊である。
 本書の特徴は、単純に時代を追った構成ではなく、探査目標ごとに編成された点だろう。月、金星、火星、大惑星、水星、太陽、彗星、といったように、それぞれの天体の全貌がいかに判明していったのか、順序立てて振り返ることが出来る。本書の著者フィリップ・セゲラ氏は宇宙の専門家ではないため(日本版の監修者・川口淳一郎教授は「はやぶさ」プロジェクト等で知られる専門家だが)、一天文ファンの視点から、図解なども含め分かり易くまとめられているのも特徴的だ。そしてなんといっても本書の最大の魅力は、その美しい写真の数々である。
 人類の宇宙開発においてエポックメイキングだったことの一つは、ハッブル宇宙望遠鏡の登場ではなかったかと思う。宇宙望遠鏡から送られてくるのは、それまで誰も見たことがないような美しい写真ばかりであった。宇宙の謎の解明に、それらの写真たちが果たした役割はあまりにも大きい。だが、本書に収録された宇宙探査機による写真の数々は、ハッブルの写真とはまた違った素晴らしさや「力」を感じさせる。「その場」で撮影したからこその美しさがあるのだ。日本初公開になる写真も非常に多いという。ここから新たな宇宙のロマンを感じる方も多いのではないだろうか。中でもお薦めは、196ページの「マーズ・リコネサンス・オービター」が撮影した火星のクレーターの写真だ。これはさながら、一度は見ておきたい“宇宙の絶景”の代表格だろう。
 日本人にとっては本書にはもう一つの読みどころがある。日本が打ち上げた探査機たちの足跡だ。本書では「かぐや」「のぞみ」「さきがけ・すいせい」、そしてもちろん「はやぶさ」のページもある(日本版オリジナルの項目も一部あるが)。これらを振り返れば、人類の科学史において日本の技術力が果たした大きな功績に気付かされるだろう。
 本書では現在進行中や今後計画されているプロジェクトにも触れられている。現在も冥王星に向かっている「ニュー・ホライズンズ」や、木星の衛星エウロパ・ガニメデを探査する予定の「JEO」「JGO」、日本が打ち上げた金星探査機「あかつき」の活躍に期待したいところだ。







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